自己破産とはそもそもどのような制度なのか
自己破産とは、裁判所を通じてすべての債務を免除する手続きです。裁判所が支払い不能と認定し、免責を許可すると、税金など特定の例外を除き、全ての債務の支払い義務がなくなります。これにより、経済的な再生が可能になる制度です。
しかしながら一定以上の価値がある財産は手放す必要があり、それらは現金化され債権者に配分されます。しかし、裁判所が定める基準以下の財産は保持することができます。
また色々な記事や質問などで見かけますが、基本的には家族には直接的な影響はありません。しかしながら銀行の融資などで家族が保証人となっている場合は別です。保証人が債務を肩代わりできなければ、保証人も自己破産する必要がでるなどの悪影響が及びます。そのため家族が保証人になっていなければ、家族がローンを組むなどに影響は出ません。
※個人信用情報は個人に紐づくため
管理人自身は民事再生(個人再生)を選択しましたが、借金を完全にゼロにできるのは自己破産だけです。
自己破産の注意点
自己破産は借金に苦しむ人には大きな利点がありますが、貸し手には不利益をもたらす制度であることも事実です。そのため自己破産はある意味、債権者の犠牲の上に成立しているといえます。ですからすべての申請者に免責が許可されるわけではないという点に注意する必要があります。例えば、ギャンブルなどの浪費が原因で借金を重ねた人は、自己破産制度を悪用しているとみなされ免責が許可されない場合があります。
そのため申立てが行われると、裁判所は免責不許可事由の有無を審査します。これらは破産法で定められています。
自己破産のメリットとデメリットとは?
メリット
- 全ての債務からの支払い義務が免除される。
- 手続き開始後は、債権者による強制執行が停止される。
- 一定額までの財産を保持できる。
デメリット
- 約5~10年間、クレジットカードの作成やローンの利用が難しくなる。
- 住所や氏名が官報に掲載される。
※最近ではこの情報を悪用してインターネットに情報を掲載するサイトも出現しています。 - 免責決定を受けるまで、特定の職に就けない。
※公認会計士や公証人など多岐にわたりますが、自己破産の手続きが完了し免責されれば職に就くことは可能です。
自己破産で保持できる財産(自由財産)ってなに?
前段で自己破産しても裁判所が定める基準以下の財産は保持することができると書きましたが、具体的には下記のものが挙げられます。
99万円以下の現金
99万円以下の現金については、民事執行法第131条で2ヶ月生活するために必要な金額を66万円とし、破産法34条3項1号でこれに2/3を乗じた額を自由財産としています。
破産手続き開始後に取得した財産
破産後に得た財産は、手続き開始後に得たものとして自由財産に該当し、処分対象外です。
法律で差し押さえが禁止されている財産
法律で差し押さえが禁止されている財産には、生活必需品や精神生活に必要な物品が含まれますが、複数保有している物品や高価な電化製品は個別に判断されます。
自由財産の範囲が拡張された財産
自由財産の範囲を拡張することは、裁判所によって認められることがあります。例えば、病気の治療費などを保障する生命保険に加入している場合、解約せずに破産手続きを進めることができます(破産法34条4項)。
破産管財人が破産財団から放棄した財産
破産管財人が放棄した財産には、回収コストが見合わない物や時価を上回る債権の抵当権が設定されている不動産などが含まれます。これらは破産財団から放棄されることがあります。
まとめ
自己破産の制度は、返済が困難な借金を抱えた人々にとって経済的再出発の機会を提供するものです。裁判所による免責が許可されれば、大部分の債務から解放されますが、生活必需品を除く一定額以上の財産は失うことになります。そして家族が保証人になっていない限り直接影響は及びませんが、破産者自身はクレジットカードの取得やローンの利用が困難になるなどのデメリットも伴います。それでも、99万円以下の現金や生活必需品など、最低限の財産は保持可能です。自己破産はどうしても借り入れを返済することができない場合の最後の手段として、経済的再生の道を開く制度であると言えます。
管理人自身も、民事再生手続き(個人再生)を経て、経済的に立て直すことができたので本当に感謝しています。
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